フォトコンテストの応募要項を作成するにあたってのお願い
近年、アマチュア写真家の方々やコンテストの主催者から「応募した作品や入賞作品の著作
権は誰に帰属するのですか」といった問い合わせが多数寄せられるようになりました。
当協会で各種の「フォトコンテスト」の応募要項を調査したところ、幾つかの問題となるような
記述があり、また、用語の解釈や表現の不統一も見られ、応募者に誤解や混乱が生じてい
ることがわかりました。
さらに、主催者の皆様に「応募要項を作成される上での問題点」をお尋ねしたところ、「コンテ
ストの応募に関する手引き」があれば便利だ、とのご意見を伺いました。
そこで当協会では、フォトコンテスト主催者の皆様方の指針として、以下のような「応募要項」
の範例を作成いたしました。
●とくに1〜3は必須とし、4以下は主催者の裁量の範囲ですが、可能な限り掲載して下さい。
また、既存の応募要項の中に「版権」という文言を時おり見かけますが、法制の経緯から、現在
は使われておりません。
今後は「著作権」に統一した表記をお使い下さい(別記法制の経緯参照)。
「応募要項」(例)
- 応募作品の著作権は、撮影者に帰属します。
- 入賞作品は、主催者が催す展覧会のほか、制作する作品集、パンフレットなどに、優先的に使用する権利を1〜2年間を限度に保有します。入賞作品は本コンテストの広報活動として、新聞、雑誌、テレビ、ホームページなどで使用することがあります。使用にあたっては撮影者の氏名表示を行います。
- 入賞作品の撮影原板(フィルム)またはデジタルデータは1〜2年間を限度に、主催者がお預かりして、広報活動などに使用し、使用期間満了後、撮影者(入賞者)に返却します。
- 主催者がインターネットWeb上で利用する場合には、撮影者の氏名を表示します。作品はモニター上での閲覧以外には、ダウンロードできないような処置を講じます。
- 主催者は応募作品を第三者に貸与することはありません。貸与する場合には、撮影者に事前に利用目的、使用条件(有償、無償)を説明した上で、承諾が得られたものについてのみ貸与いたします。
- 応募作品が他のコンテストでの入賞や印刷物、展覧会などで公表されていることが判明したときは、主催者は入賞、入選等を取り消すことができます。
- 応募作品の返却希望者は、返信用封筒に切手を貼って応募してください。
- 人物を主題にした作品の場合は了解を得てください。
- 応募作品が「合成または加工された写真」であるかどうかを明記して下さい。
- 他人の著作物を撮影し、それを素材にして加工や合成をしますと、著作権の侵害にあたる場合がありますので注意してください。
法制の経緯
わが国の著作権法制は、江戸時代まで遡ることができますが、「図書を出版する者」を保護す
る規定を持つ「出版条例」(明治2年)がその先駆です。その後、明治8年に「出版条例」が改正
され、初めて「版権」という規定が生まれ、出版者に30年間の専売権を認めることになりました。
写真については明治9年に「写真版権」が認められ、免許から5年間の専売権が写真師(写真
家)に認められることになりました。明治20年にそれまでの「出版条例」、「写真版権条例」が改
正され、前者は著者の死後5年、後者は出願、登録した写真は10年間認められることになりま
したが、肖像保護の目的から、委嘱を受けて撮影した写真の版権については、委嘱者に属する
と規定されました。その後、明治32年「著作権法」(旧法)が公布され、写真については「発行後
または制作後10年の保護」「嘱託による肖像写真は、委嘱者に帰属」「文芸、学術の著作物に
挿入された写真の著作権は、その著作者に帰属する」といったものでした。この旧法は昭和46
年に著作権法の全面改正が行なわれ、「版権」という文言はなくなりました。更に改正が進み、
平成9年になって初めて写真の著作権は、他の文芸、学術、美術、音楽と同等の権利「著作者
の死後50年間保護される」ことになりました。このような長い歴史の下、今日では著作権の概念
は映画を除いて基本的に統一したものになっています。
そうした理由から、「版権」という文言は使われなくなり、「著作権」に統一されました。
